洋書でミステリーを読む時、注意した方がいいな・・・と気づいたことがあります。
そのお話をば。
深掘りしすぎて、面白さが半減?
洋書でミステリーを読む時、そもそも、英文の意味がわからないと、ストーリー自体が???になってしまうので、
今まで、深掘りしまくっていましたが、本日、「深掘りしすぎも、ダメな場合がある」ってことに気づきました。
というわけで、早速、実例を見ていきましょう。
※記事内で使っている「原文」はすべて、エラリークイーン著「The French Powder Mystery」からの引用です。
とその前に、英文の内容がわかるように、今までのあらすじを、少し書いておきます。
フランス白粉の謎のあらすじ
ショーウィンドウから転がり出た死体。
何故?そんな場所に死体を隠したのか?
それは、死体の発見を遅らせ、殺人の痕跡を消すためだったとエラリーは推理します。
では、殺人の痕跡とは何か?
そんな話をリチャード警視(パパ)と話している時の英文です。
まずは、深掘りして英文をチェック
原文:”It could scarcely be anything else but bloodstains.”
深掘り:anything else butは、否定を伴って、~以外何もない・・・という意味になります。
文意:血痕以外、ありえない。
原文:”It would have to be something of a directly suspicious nature, or murderer would not have taken all the trouble he did."
深掘り:natureは自然・・・という意味以外にも、性質という意味があります。
文意:ダイレクトに疑わしい性質の何かでなければならない。さもなければ、殺人者はあんな苦労はしなかっただろう。
順番が、おかしい気がする
上の2文は、続けて話されているのですが、1文ずつ、切り離して考えれば、何の問題もありません。
が、続けて話している状況を考えると、
「血痕以外、ありえない」としながらも、
「ダイレクトに疑わしい性質の何かでなければならない」
という順番が、違う気がします。
普通は、「ダイレクトに疑わしい性質の何かでなければならない」→「血痕以外、ありえない」
こうなるはず。
でも、気づきました。
大事なのは、どちらの文にも書かれている「It」です。
”It could scarcely be anything else but bloodstains.”
”It would have to be something of a directly suspicious nature, or murderer would not have taken all the trouble he did."
「それは、血痕以外にはありえません。」
「それは、ダイレクトに疑わしい性質の何かでなければなりません。そうでなければ・・・」
不思議ですが、日本語であっても「それは」を付け加えるだけで、いかにも、エラリーらしい口調だと納得します。
日本語の癖が出る?
多分ですが、主語を抜かしてしまうのは、日本人的な癖ではないか?と。
洋書=ストリーだという気持ちがあるためか?
ついつい、わかりきっている単語は無視して、文意だけを取ろうとしがちですが、
英語はやはり、主語がとても大事なんですね。
まとめ
無事、納得できたところで、最後に、まとめます。
あまり、一文ばかりに集中しすぎると、ストリーの雰囲気を見失うこともあるってことですね。
かといって、適当に速読しても、誤読しちゃうし、難しいところです。
せっかくなので、ストリーの方もまとめておきます。
原文:”So I reasoned that in some way blood soaked the felt, and the murderer was compelled to change the felt and dispose of the tell-tale bloddy one.”
文意:フェルトに血が染み込んだだめ、殺人者は、隠そうとしても隠しきれない血痕を始末するために、フェルトを交換せざるを得なかったと僕は推理しました。
tell-tale は、隠そうとしても隠し切れない・・・という意味で、初めて知りました。おもしろ~い。
この文で出てくるフェルトって何だよ?と思いました?でも、ネタバレになるので詳細は控えます。