前回、洋書(英語)を読むコツとして、「違和感」についてお話ししました。
が、もう少し突っ込んだことを言えば、
英語のリーディングが伸びないのは、「違和感がない」あるいは「違和感はあるのに、それを無視する習慣がついている」せいかもしれません。
そこで、今回は、実際に私が感じた違和感から、どう対処したのか?までをお見せしますので、
そこから英語のリーディングを伸ばすヒントを何かしら得てもらえたら・・・と思います。
よく知っている単語も深掘りする
今回もまた、エラリークイーンの「The French Powder Mystery」からの抜粋です。
原文:I think March Banks had her number.
この英文だけ読めば、「マーチバンクスは彼女の番号(電話かな?)を知っていたのだろう」になるわけですが、
ストリーの中では、彼と彼女は兄弟で、すこぶる仲が悪いという話が明かされた後なので、
そんな意味になるはずもありません。←これが「違和感」
そこで、have someone's number を調べてみると、
「~の狙いを知っている」
「~の本質を知っている」
「~を理解している」
という意味がありました。
でも、なんでnumberなんだろ?
と、numberの語源を調べてみると、もともとは「合計、集まりの総量」を意味していたことがわかります。
そこから、徐々に派生して、number = 「人」という意味合いも出てきたようです。
なお、創元の旧訳では、「彼女のおかげで迷惑をこうむったらしい」となっていますが、
「彼女の本性を知ったのだろう」ぐらいの方が、原文には忠実のように思います。
受験的な速読の癖をやめる
原文:His father was the original member, and it was the elder Trask's dying wish that his som succeed him.
この英文を左から読んでいった時、瞬間的に succeedを、成功する・・・と読み間違いました。でも、即座に、違和感が発動しました。
なぜなら、his son succeed him.は典型的なS V Oの文型で、彼の息子が、彼をsucceedする・・・では、わけがわからなくなるからです。
つまり、このsucceedは、「成功する」ではなく「後を継ぐ」という意味で考えると、非常にすっきり解決します。
おそらく、日本人の多くは「自分の好きな洋書を読む < 受験のための長文英語を読む」という経験をしてきているため、
受験的な「速読」が習慣として体に染みついています。
が、慌てて読めば読むほど、自分の思い込みは加速されていきます。
せっかく、本を読んでいるというのに、これではもったいないです。
読書は作者との対話であり、作者の話をきちんと聞く(読む)ことで、新しい発見ができ、自身もバージョンアップしていくからです。
Kindleでの単語調べはしつこく行う
原文:Old Man Trask lost a lot in the stock market, and his son has been plunging so heavily that the report is he's near the end of his rope financially.
この英文で、単語の「plunging」をタッチすると、出て来た訳が「えりぐりが深い」でした。←大いに違和感
言うまでもなく、his son has been plunging ・・・・なので、plunging は、plunge の ing形です。
そこで改めて、plungeで調べてみると、「飛び込む」「追い込む」「落ち込む」などの意味で、上記の英文の雰囲気は理解できました。
が、どうせなら、辞書はしつこく見た方がお得です。(笑)
すると、口語で「危険な賭けをする(投資)」という意味があり、まさにピッタリ!の単語でした。
まとめ
いかがでしたか?
私がエラリーを読みながら感じた「違和感」の正体は、「コンピューターのエラー音」みたいなものです。
が、エラー音が鳴り響くからこそ、そこで「修正をかけ」「自分のバージョンアップ」できるわけですから、
こんなに有難いものはありません。
英語のリーディングは、どうしても受験のイメージに引っ張られます。
が、せっかく試験から解放されたのですから、大人ならではの英語のリーディングを試してみませんか?