今回は、よ~く知っている単語でも、辞書を引かないとわからないケースがあるという実例です。
※原文はすべて、エラリークイーン著「The French Powder Mystery」からの引用です。
lendは「貸す」だけじゃない
lendは、学生の頃、borrowと一緒に覚えた単語です。
lendが、貸す。
borrowが、借りる。
学生時代には、えっと、どっちがどっちだっけ?とわからなくなったもんです。
ところが、エラリーの本に、こんな文章がありました。
原文:The sunveams that streamed in through the three wide windows,far from lending warmth to the ensemble,in some grotesque way only heightend the general effect of cheerlessness.
カンマで区切られた部分だけを訳すと、全体に温かみを貸すことからは遠い・・・となり、微妙に意味不明です。
そこで、辞書を引いてみると、lendには、(物が~に)役立つという意味もありました。
これなら、太陽の光が全体に対して温かみの役に立っていない(直訳)となり、次の文章にもすんなりつながります。
ただ、この後の会話文では、普通に「貸す」という意味でもlendが使われており、こういうのも面白いなと思います。
その原文が、こちら。
原文:Here,Velie,lend a hand with these duds.
lend a handは、手を貸すという熟語で、日本語と妙な一致があります。
attendは「出席する」だけじゃない
同じような単語にattendがあります。
attend =「出席する」と覚えておりましたが、またしても、出席するではどうにも訳せない英文が出てきました。
原文:The room was attended to on Monday morning.
形としては、受け身になっていますので、「出席する」で直訳してみると、その部屋は月曜の朝に出席された・・・となり、これも意味不明です。
さらには、attendの後ろのtoも気になります。
調べてみると、やっぱりattend toで~の世話をするという熟語でした。
意味がわかってみれば、方向を示すtoが使われているのも納得です。
原文では、それが、受け身になっているだけですから、
部屋は月曜日の朝に世話をされた(掃除とか片付けがなされた)となります。
まとめ
今回は、良く知っているはずの単語を2つご紹介しました。
1つの英単語がたくさんの意味をもっていることは、よくありますが、学生時代、簡単に覚えた単語ほど、その単語が持つコアの意味を軽く見てしまっていることがよくあります。
lend「貸す」やattend「出席する」でも、文脈から意味を推測することは可能ですが、簡単な単語ほど辞書を引くと、あぁ、そういう使い方もするのね・・・と見えてくるものがたくさんあります。
また、上記のような英単語の使い方は、小説ならではだと思うので、そこも面白いです。
敢えて、直接的な表現はしないというか。
含みをもたせ、イメージさせるっていうか。
そう思うと、なんか俳句にも似ているのかな?なんて、ふと思いました。