英語を学問としてではなく、
コミュニケーションの道具として学ぶ時には、
学校でやってきたのとは異なる目標の立て方が必要です。
確かに、学んでいるものは、同じ英語ではあるのですが、
目的は受験突破やテスト合格ではないのですから、
英語に対する意識をガラリと変える必要があります。
実際、
最初は英会話を学んでいたつもりが、
いつのまにか、資格取得にすり替わっていくケースは結構多く、
なかなか、中学、高校と植え付けられた習性は変えられないものだなぁ。
とつくづく思います。
もちろん、そうした回り道も悪くはないとは思います。
が、やはり、どれだけ資格を取っても、
ネイティブを見たら逃げる!
何も話せない!
という状況は、やっぱり悲しいわけで、
この迷走を阻止する目標の立て方を今日はお話しすることにします。
道具にフォーカスする
私たちは、英語を受験科目として見てきてしまったので、
英語を道具として見ることが、なかなか下手くそです。
そこで、まずは、「英語」を一旦、横において、
具体的な「道具」の例から目標の立て方を考えてみましょう。
道具の使い方を知る
今回は、具体的な「道具」として「かなづち」を取り上げてみます。
私たちは「かなづち」がどんなものかを知っています。
どんな時に使って、どんなふうに使うのか?も、大体わかっています。
でも、それでも、私たちは「かなづち」を上手に使いこなすことはできません。
その理由としては、
1、「かなづち」の使い方を知識として学んでいない
2、「かなづち」の上手な使い方を観察していない
3、実際に「かなづち」を使う練習をしていない
の3つが挙げられます。
とは言え、異論がある方もいらっしゃると思いますので、
一応、説明をしておきます。
1をさらに詳しく
「かなづち」は単純な形をしているから、わざわざ使い方を知識として学ぶ必要はない。そう思う方もあるやもしれません。
が、写真のタイプの「かなづち」は、A面とB面が異なっており、それぞれ使い方も異なります。
2をさらに詳しく
「かなづち」で釘を打つのが上手な人、たとえば、大工さんを観察してみると、正しい「かなづち」の使い方がイメージできます。
こうしたイメージを持たないまま「釘を力任せに打ってしまい、釘が曲がってしまう」という経験をした人は多いでしょう。
3をさらに詳しく
とにかく、実際に「かなづち」を使ってみる練習をすることは、道具を使いこなす上では大切なことです。
ただ、だからと言って、1と2を無視し、3だけにフォーカスするのは、かえって習得に時間がかかってしまいます。1+2+3を上手にリンクさせていくのが、道具を操る最短距離なのです。
道具としての英語、目標の立て方
いかがでした?
「かなづち」という道具を実際に思い浮かべてみると、
やるべきことが少し見えてきませんか?
もちろん、英語は「かなづち」ほど単純ではありません。
が、それでも、「道具ということ」にフォーカスすれば、
英語への意識や接し方はずいぶん変わります。
ということで、ここからは、
道具としての英語を学ぶための目標を具体的に立てていきましょう。
使い方を知識として学ぶ
英語の場合「使い方を学ぶ」のは、
ほぼほぼ、単語のことだと思ってもらって構いません。
前回の接続詞soがそうだったように、
実は私たち日本人は、中学レベルの簡単な単語の使い方すら、よく知らないのです。
いや、教えてもらってない・・と言った方が良いと思います。
なにせ、受験やテスト合格をゴールとした英語学習ばかり行ってきたので、
単語は単純に、英語:日本語=1:1で理解しておけば事足りました。
でも、実際に「英語を使う」のならば、
onlyとalone、byとuntilなどは、どの位置で使うべきなのか?
どういう状況の時使うべきなのか?
否が応でも知らねばなりません。
そうした時、やはり頼るべきは辞書・・ということになります。
ココがポイント
たとえば、辞書にはこんな情報が掲載されています。
「だけ」という意味のonlyは修飾する語の前に置けるので、文のどこにでも置けるが、意味合いが少しずつ変化する。
そしてaloneにも「だけ」という意味がある。
ただし、aloneの場合は、必ず名詞の後ろに置く。
目標例
とりあえず、辞書を読む癖をつけましょう。
用法を読んで、使い方をきちんとインプットするのです。
おすすめは、和英辞典と英英辞典の両方を読むことです。
上手な使い方を観察する
上手な使い方とは、ネイティブの表現の仕方を学ぶということです。
餅は餅屋。
英語は英語を母語とする人たちに学びます。
ただし、ネイティブと言えども表現の仕方は千差万別なので、
できるだけ綺麗な英語、癖のない英語に接するようにします。
そのためには、たくさんの良い英文に接することが大切です。
ネットにあふれている有名な人々の名スピーチでも良いし、
評価の高い童話でも、古い名画を鑑賞しても良いと思います。
edxのような大学の講義もお勧めです。
目標例
できるだけ、たくさんの自然な英文に接するようにしましょう。
そのためには、英語を学ぶというよりは、自分の興味のあることから始めるのが一番です。
むしろ、英語を学ぶんだ!!という強い気持ちは一旦捨て←おいおい・・・
自分が好きな分野を日本語の世界で終わらせないで、英語の世界まで広げていく。
そんな感覚を育んでみましょう。
実際に、練習してみる
実際に練習してみるというのは、道具を使う時には、どうしても必要なことですが、
最初の2つをこなしてからしか、実技練習をしてはならない!
わけではありませんので、誤解のないように。
ただ、実際の練習は、どのレベルであっても行うことはできるのですが、
あまりに「知識が少なすぎる」状態では、効率が悪いかもしれません。
そこで、ここに限っては、
「ここまでは理解しておくと良いよね。」
というレベルを目標例にしておきます。
目標例
中学レベルの英文法は完璧に理解しておきましょう。
英文の5文型の構造も理解しておきましょう。
単語(1:1の学校レベルでOKです)は最低3,000語は身につけておきましょう。
まとめ
以上が、道具としての英語を学ぶための目標の立て方、目標例です。
今回、お話ししたポイントは、
要するに
英語を徹底して「使う道具」として意識する。
たった、これだけのことです。
たかが意識と思うかもしれません。
でも、
意識が変われば・・・・最終的には運命、人生まで変わる。
という、ヒンズー教の教えにもあるように、
英語においても、同じなんです。