バイアスとは、もともと、偏りとか斜めという意味ですが、
思い込みとか先入観というような意味として理解しておけば良いと思います。
そして、残念ながら、
どんな人にも、バイアスは、かかっています。
というのも、この「バイアス」を生んでいるのが、
「ヒューリスティックス」というシステムなのですが、
このシステムは、良くも悪くも全自動!
つまり、
自分でも気づかないうちに、バイアスはかかってしまっている。
というわけです。
さらに詳しく
「ヒューリスティックス」とは、意思決定の際、簡略化したプロセスを経て結論を得る方法のこと。
一方、論理的に考えて結論を得る方法を「アルゴリズム」と呼びます。
ダニエル・カーネマンは、「ヒューリスティックス」のことを「システム1(fast)」と呼び、もう一方を「システム2(slow)」と呼んでいます。
そして、このバイアス。
仕事や人間関係において、
トラブルを招く元になることが、結構あるんです。
実際、「あの人、思い込み強いよね」とか
「先入観ありすぎでしょ」
なんて言葉を使う時って、大体、トラブってる時です。
そこで!今回は、
そういったトラブルを回避するためのバイアス予防に、
英語学が使えるんじゃないか?
というお話しです。
ヒューリスティックスは母語と似ている
ヒューリスティックスの問題は、
無意識のうちに、全自動で決断しているという点にあります。
そのあたりが、母語を使う時にとても似ているなぁ・・・と思うんです。
どういうことか?と言うと、
私たちは、日本人ですから、四六時中、日本語で考えています。
そして、英語学習の時においても、
私たちが、その姿勢を変えることはありません。
つまり。
私たちの頭の中は、
無意識のうちに、日本語的な発想や思考になっているんです。
これを、英語力を伸ばす!という点から考えれば、
「英語で考えろ」とか、
「英語脳を作れ」と言う話になります。
でも、
「バイアス予防」という点から考えるなら、
そこまでの必要はありません。
ただ、ちょっと、気づけばいいだけです。
とある試合で考える
ここで、ちょっと、
簡単な英語で、実験をしてみましょう。
あなたは、サッカーチームの一員です。
いつも決勝戦で当たる相手チームと、入り口で鉢合わせしました。
その時、相手チームに対し、一言、こう言います。
「君のチームに、勝つ!」と。
さぁ、これを、英語に直してみましょう。
もしかして、
We win your team!
って、しませんでしたか?
全自動の日本語思考で英文を作ったら、こうなりますものね。
これが、ヒューリスティックス=システム1の仕事です。
一方、
We win your team.
を検証してみるのが、システム2の仕事。
結論にすぐに飛びつかず、論理的に考えていきます。
(あるいは、辞書で調べてみます。)
たとえば、こんな感じ。
この文の形は、どう見ても、SVO。
ということは、V=他動詞として使っている。
でも。winの他動詞は、「勝ち取る」という意味。
だったら、勝ち取るのは、
your teamじゃなくて、gameとか、first placeのはず。
だから、答えは、
We win a game.
We win first place.
になる。
まとめ
いかがでした?
上記のような例は、
英語学習をしていれば、いくらでも起きることです。
このせいで、私たち日本人は英語が苦手なのですが、
でも、ある意味、これは、チャンスです。
そのおかげで、すぐに直訳せず、辞書を調べたり、
論理的に考える癖がつくんですから。
もちろん、こうした積み重ねは、
確実に、英語力をも伸ばしてくれますが、
万が一、英語力が伸びなかったとしても、
「自分のバイアス」に気づくことができる!
というのは、
仕事や人間関係においても、
自分の姿勢そのものを良い方向に変える力があるのです。
ほんのちょっと、意識するだけですから。ぜひ。